平成最後に「安楽死」について考える。古市憲寿 著『平成くん、さようなら』

こんにちは、もるです!

今回紹介する『平成くん、さようなら』は、社会学者である古市憲寿さんが書いた初小説です。

タイトルにあるように、この小説の中には、「平成」に生まれたコンテンツや固有名詞がたくさん出てきます。

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  • DA PUMPの「U.S.A」

など、まさに「今」に焦点が当てられているんだな、と思える内容を詰め込んでいる小説内容は

数年後に読むとの、「平成」が終わろうとしている前に読むのとでは感じ方が違うだろうと思える作品でした。

平成が終わる前、そして平成の今を知っているうちに読むと、
小説のリアルタイム感を実際に体感しながら読むことができます。

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「平成が終わる前に、死のうと思う」

主人公の男は、29歳の売れっ子社会学者で日々テレビや取材で忙しい。
名前は「平成」と書いて、「ひらなり」と読む。

平成を象徴する人物としてメディアに取り上げられるようになり、
「平成」が終わる最後の年である2018年、平成くんはいつにも増して仕事が増えていた。

しかしある日突然、恋人である愛に対して、「平成が終わる前に、安楽死したい」と告げる。

何事も検算しているという平成くんの言うことだから全うだろうと一度は「いいんじゃない」と咄嗟に返答するも、
もちろん恋人である愛はそれを受け入れられないまま、いつ安楽死をするのか不明瞭なまま日々を過ごしている。

 

安楽死が認められている日本

この小説を読み始める前、小説のテーマが「安楽死」だとはあまり想像していませんでした。

現在の日本は、『世界で一番安楽死しやすい国』と呼ばれ、海外から安楽死をするために訪日する自殺ツーリズムまで流行している。
人口動態統計によれば、2017年の死者数は137万人だったが、その約1割にあたる15万人が安楽死でこの世を去っている。

その中には安楽死がなければ、自殺や病気で死んでいた人が多く含まれているはずだという。

「安楽死」について検討をしたことも、周りで「安楽死」を望む人も身近でなくても
この小説の中では、主人公が「安楽死」で自殺しようとしていることから、
様々な安楽死の現場やケースと出会います。

  • 辛い過去があり、自殺の望む結果「安楽死」を選んだ若者
  • 親族に望まれて、「安楽死」を選択する高齢者
  • 病気の苦しみから逃れるために「安楽死」を選ぶ病人

実際にあったニュースから、個人的な内容まで、様々な「安楽死」を考える経緯がこの小説の中で読めました。

「安楽死」を考えたことも、身近でもなかった私は、
「死」に対してネガティブなイメージしかなかったです。
しかし、当人の意志から選択する「死」として「安楽死」は必ずしもネガティブな選択で行われている訳ではないんだなとエピソードを通じて感じました。

 

切り取るように今を生きる

 

主人公の平成くんが、なぜ平成が終わる前に「死」を選ぶのか。
疑問しかないまま物語が進みます。

その中で恋人との愛との関係も変わってきます。

恋人である愛は、「彼がいつ死ぬのかわからない」不安から、彼と共有しているGoogleカレンダーを見て、今日も仕事がしっかり入っているのを確認すると、
「今日は平成くんは、死なない」と意識します。

今までの彼との向き合い方と、「死ぬことを決めた」と宣言されてからの恋愛関係は、
少しずつ変わっていきます。

 

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結末はネタバレになってしまうので書きませんが、
「安楽死」をテーマにしていること、
こんなにも「今」に焦点が当てられて書かれている小説は初めてで
とても新鮮でした。

「死」を意識することはネガティブに思われがちですが、
ある種、「終わり」を決めると、日々を大切にできること、気付けなかったことに敏感になれること
この小説の中では、そんな部分も書かれていて考える部分がありました。

 

ぜひ、平成最後の「今」に読むのがおすすめの小説です!

ABOUTこの記事をかいた人

鹿児島出身、関西在住。社会人2年目。 わたしの本棚 ライター 好きなジャンル:恋愛、ビジネス、エッセイ 好きな著者:江國香織、森絵都、東野圭吾、伊坂幸太郎、吉本ばなな、はあちゅう(敬称略) 商社でプロダクト関連のデザインのお仕事をしています。 書くこと、デザインすることをお仕事にしていきたく奮闘中・・・!