これは「恋愛小説」なんだろうか? 本谷有希子 著 『生きてるだけで、愛。』

こんにちは、もるです!

最近気になった映画として、この小説を原作とする『生きてるだけで、愛。』

こちら来月11月から公開の映画です!

最近、「この映画気になるな」から、「この映画を観に行こう!」ではなくて、
「原作を読んでみよう!」となるこの頃です。

この映画も、気になったので、早速原作を買ってみました。
(ちなみにAmazonでは売り切れていたので書店を回りました・・・)

この小説は、恋愛小説ではありますが、多くの人が想定するような青春ストーリーでもなければ、
大人向けの恋愛物語でもなく、

消費社会の自己完結出来てしまう現代にわざわざメンドクサイ関係を作らなくてもよくなくなった人間同士の、
不可能なような恋愛小説です。

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この小説を最後まで読んで、「生きてるだけで、愛」の意味がわかったような気がしました。

 

「妥協におっぱいがついて歩いている」と自分を例える主人公

 

主人公の女性は25歳。

高校時代に「まつ毛と鼻毛以外」、全身の体毛を全て剃り落としたことがあり、
「ムラのあるテンションとたまに飛び出す奇行がキズ」と自覚している。
レジ打ちのバイトをしていたが、同僚の恋愛劇に巻き込まれたことがきっかけで、
「何もかもが嫌になって」「怒鳴って怒られて」クビになった主人公はニートになり、それ以来鬱が続いている。

ヤケになってたまたま参加した飲み会で出会い、押しかけて成り行きで同棲している津奈木と3年になる。

成り行きで住み込んでいる津奈木の家で、三日お風呂に入らなくても平気、そして「過眠症」と称し、毎日惰眠をしている彼女とは対照的で、
津奈木はそんな主人公に何も言わない、「無色」で堅実な男性であった。

 

自意識という牢獄

 

主人公のセリフがとても印象的だった部分に、

「あんたが別れたかったら別れてもいいけど、あたしはさ、あたしとは別れられないんだよね一生。
うちの母親は今でもたぶん雨降ったら寝てると思うし、あたしだってこんな風に生まれちゃったんだから死ぬまでずっとこんな感じで、それはもう諦めるしかないんだよね?諦めなきゃ駄目なんだよね?
いいなあ津奈木。あたしと別れられて、いいなあ

と、マンションの屋上で全裸になって、津奈木に言います。

普通、恋愛関係は「閉ざされた」ものとして、物語が進み
多くの人も自分の中にあるものとして恋愛をしていることが多いと思いますが、

この主人公は、日々、自分の「味の濃さ」(自分の変わっている部分や人と違う部分)に辟易しながらも、
相手にも同じくらい濃い味を求めてしまいます。
しかし、津奈木は主人公と正反対の「味の薄い」(どこにでもいるような、真面目でコツコツな)タイプなので
主人公は度々奇行を繰り返してしまい、と同時に苦しんでしまう。

心のバランスを取るために、日々思いとは正反対の行動を取ってしまう主人公と、
そんな奇行を繰り返されながらも、「本当はちゃんとわかりたかったよ」となだめる津奈木の
不自然で、でも成り立っている恋愛小説でした。

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とにかく「甘い!」みたいな恋愛ものではないですが、
背景の違う人間同士がたくさんいる現代に「あるある」なのかもなぁ・・・と思うような小説で、面白く読めました。

映画も観たくなりました!

ABOUTこの記事をかいた人

鹿児島出身、関西在住。社会人2年目。 わたしの本棚 ライター 好きなジャンル:恋愛、ビジネス、エッセイ 好きな著者:江國香織、森絵都、東野圭吾、伊坂幸太郎、吉本ばなな、はあちゅう(敬称略) 商社でプロダクト関連のデザインのお仕事をしています。 書くこと、デザインすることをお仕事にしていきたく奮闘中・・・!