コンビニは私を「人間」にしてくれるから。 村田沙耶香 著 『コンビニ人間』

こんにちは!もるです。

今回は、芥川賞も受賞し、18ヶ国語に翻訳され累計92万部を突破した小説「コンビニ人間」を読みました!

  • 「普通」に生きるって何?
  • 「同調圧力」に疲れてしまった
  • テンプレートに沿った生き方に疑問を感じている

そんな方に、オススメです!

主人公の古倉恵子はタイトルそのままの「コンビニ人間」。
生まれてこのかた彼氏なし、大学入学から18年間コンビニでのアルバイトに尽くしている36歳の未婚女性である。

日夜覚めてもコンビニのことで頭がいっぱいの彼女は、
通常の36歳なら結婚や子供がいてもおかしくないはずなのに、どうして18年間ここまでコンビニでアルバイトを続けているのか

その背景と、「現代の生き方に対する見方」がとても興味深い内容でした。

「自ら動く」ことをやめると決めた幼少期

 

コンビニ人間である恵子は、幼少期に様々な周りとの異変に気付くようになるきっかけがあります。

死んだ可愛い小鳥を「焼き鳥にしよう」と提案する。

みんなと公園で遊んでいた時、恵子と友達は死んでいる綺麗な小鳥を発見します。
それを見たみんなは「かわいそうだから、お墓を作らない?」と提案して賛同している。

そんな中、恵子は「これを家に持ち帰って焼き鳥にしたい」と母親に言います。

それを聞いた母親、そして周りの友達は、恵子に対して奇妙な面持ちをして引いてしまいました。
しかし、恵子のこれまでの経験として、焼き鳥を美味しそうに食べているお父さんや妹を見てきたため、
せっかく死んでいるなら、焼き鳥にするのが合理的だと考えています。

また同時に恵子は、「お墓を作ってあげよう」と言って、死んだ小鳥を敬いながらそのお墓のために綺麗な花を土から引っこ抜くという行動に矛盾を感じています。

同級生の頭を落ちてたスコップでかち割る。

クラスメイトが喧嘩を始めました。
それを見た恵子は、喧嘩を止めるために、落ちていたスコップでクラスメイトの頭をかち割ります。

これは暴力にしか見えない行為ですが、恵子はこれを「黙らせたいなら、一番合理的だ」と思っています。
二人を冷静にさせるために、一番合理的な方向を選んだだけだった恵子でしたが、

周囲の人や真剣に愛情を注いでくれる両親が自分に対して違和感を持っていることに気づいてから、
恵子は自分の判断や考えで動くことを一切やめて生きることを決めるようになりました。

「普通」に生きていくためにコンビニを選んだ

いろいろな人が、同じ制服を着て、均一な「店員」という生き物に作り直されて行くのが面白かった。
その日の研修が終わると、皆、制服を脱いで元の状態に戻った。他の生き物に着替えているようにも感じられた。

恵子は大学入学と同時に、近くにあるコンビニのアルバイト募集を見つけます。
気分で面接を受け、採用されて勤務を始める恵子でしたが、
コンビニアルバイトを通して、今まで「普通」に装うことで必死だった恵子が、勤務している間いつもここでは「コンビニ店員」として受け入れてもらえることに一種の安心と居心地の良さを覚えるようになります。

そして18年間、
店長は8回代わり、
アルバイトメンバーも次々と変わっていきます。

その流れに沿って、恵子の中の「普通」も変わっていくことになります。

それは話し方、同調するタイミング・・・
周りのメンバーが変われば、そういった部分も「普通」に変えていこうと必死です。

本来の自分が周りと違うことで、一生懸命に「普通」を追い求めて生きる恵子にとって、
イメージが固定され、やることが全てマニュアル化されているコンビニという空間がいかに「普通の人間」でいさせてくれるということをここでは示しています。

 

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18年間コンビニでアルバイトをしている恵子にとって、
コンビニという環境が唯一の「普通さ」を与えてくれる環境でしたが、
年齢に伴って次は
「結婚」、
「出産」などと、

次々とまた新しい「普通さ」が押し寄せてきます。
そうなった時、36歳になってもコンビニアルバイトの恵子は、もう「普通の人間」として周りに受け入れてもらえないことを感じるようになります。

そこから彼女が選ぶ進路も、とても面白いな。と思いました。(詳しく書くとネタバレになってしまうのでここまで・・・)

 

さすがは芥川賞だ!と思った小説でした。

 

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鹿児島出身、関西在住。社会人2年目。 わたしの本棚 ライター 好きなジャンル:恋愛、ビジネス、エッセイ 好きな著者:江國香織、森絵都、東野圭吾、伊坂幸太郎、吉本ばなな、はあちゅう(敬称略) 商社でプロダクト関連のデザインのお仕事をしています。 書くこと、デザインすることをお仕事にしていきたく奮闘中・・・!