【夏の本特集】勝ち負け、こだわりって? 誉田 哲也 著『武士道シックスティーン』

7月後半の「夏の本特集」ウィーク!
続きまして、もるです。

この連日続く猛暑に、「今年の夏は異常に違いないぞ!」と、去年も同じことを言っていたなと思い返しつつ・・・
私が一番暑い夏を過ごしていたときに読んだ本を紹介しようと思います!

今回紹介する本は誉田 哲也さんの『武士道シックスティーン』です。
剣道部に入部している二人の真逆の性格を持つ女子高生の部活を通しての成長が描かれる青春物語。
(当時私も高校生かつ剣道部で、毎日暑い道場で稽古し、あの頃がおそらく一番、熱中症と近い距離にいました。部活後に飲むCCレモンが幸せでした・・・!むしろそれしか覚えていないほどに。)

剣道や武道、学生さんじゃなくても、楽しめる小説になっています!

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正反対の剣道部員の青春物語

香織「斬るか斬られるか、それが剣の道であり兵法の本質」

早苗「勝ち負けには拘りたくない、人よりも長く構えていたい」

磯山香織3歳から剣道を始めた全中で準優勝をしている剣道エリート。
しかし、その香織は、中学3年生の時の横浜市民秋季剣道大会で無名選手に負けてしまいます。
その無名選手の名前は甲本早苗。

その無名選手の甲本早苗は、剣道という勝負戦という勝ち負けにこだわらず、「楽しむ」ことを意識している、香織とは真逆のお気楽少女。

二人は同じ高校に進学し、正反対のお互いを剣道を通して見つめ始め、ぶつかり、知らずにいた世界を知るようになるストーリー。

ストーリーから伝えられること

勝ち負けにこだわるとは?

しばしば通う武道具店のおじさんが伝えます

私に言わせりゃあね、香織ちゃんの勝負論も、その子の自己成長重視の姿勢も、大差ないということになるけどね
だってさ、勝ち負けにこだわるってのは、要は相手に勝って喜ぶってことだろう?
相手より自分のほうほうが、ある時点では優れていた。
そのことを確認して、安心するってことだろう?

「勝てないと意味がない」と勝ちにこだわり続けて強くなった香織が、
勝ちにこだわらず「楽しいかどうか」を焦点に当てる早苗に出会ったことで葛藤し、勝利の意味を見出せなくなります。

しかし、その葛藤の末に勝つことの先にあるものに気が付くことになります。

つまり比較の対象が他人、ってわけだ。対して早苗ちゃんの考え方はどうか。
習った技が出来るようになる。
前より構えがよくなる。
それは何を比較対象にしているのかっていうと、過去の自分ってことになりはしないかね

要は両方とも今の自分と何かを比べて、その比較対象より優れていたらいい、劣っていたら駄目だと、そういう判断をしていることになる。
その点においては全く同じってことになるだろう。
…私は別にそれは悪いといっているんじゃないよ。
ただ、それがすべてじゃ、大切なものを見失っちまうんじゃないか。
それをあんたらに、いいたいんだよ

勝ちにこだわらない早苗から、香織は自分の勝ち負けへのこだわりについて見直すようになります。
勝つことでしか自分を肯定できなくなっていたから、勝ち負けにこだわらず、勝とうが負けようが気楽な早苗に違和感を感じていたことに気づきます。

自分で気づかないと意味がない

……ときには、回り道をしてでも、たとえ立ち止まってでも、見つけなきゃならない答えってものが、ある。
それは、誰かに教えてもらうんじゃ駄目なんだ。
自分で見つけないと、意味がない

自分の好きなこと、したいこと、するべきこと、顧問はちゃんと自分で見つけないと意味がないよ、と答えを求めて苦しむ主人公に伝えます。

武士道では、義、勇、仁、礼、誠、名誉、忠義、克己とあり、
集約すれば、世のためを思い、他人を敬い、精進を怠らない……そういう心得があります。
剣道をしていたのにもう自分はその半分も覚えていないかもしれない・・・!ですが、とても大切な精神を学びました。

武道をしていなくても、青春物語として、とても共感する部分があると思います。
高校を卒業して●年(もう●年か・・・恐ろしや!)経った今でも、読み返すと懐かしい気持ちになりました!

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ABOUTこの記事をかいた人

鹿児島出身、関西在住。社会人2年目。 わたしの本棚 ライター 好きなジャンル:恋愛、ビジネス、エッセイ 好きな著者:江國香織、森絵都、東野圭吾、伊坂幸太郎、吉本ばなな、はあちゅう(敬称略) 商社でプロダクト関連のデザインのお仕事をしています。 書くこと、デザインすることをお仕事にしていきたく奮闘中・・・!