発酵愛好家のはなこです。
内容はわからないまま、かわいらしい表紙にひかれて買ってしまいました。
「羊と鋼の森」の著者でもある宮下奈都さんの作品です。
あらすじ
20代後半、2年付き合った彼氏に突然婚約破棄を申し出られるあすわ。
失意のどん底にいる中、自由奔放な叔母のロッカさんが提案したのは
「ドリフターズリスト(やりたいことリスト)」の作成だった。
リストを少しずつ消去していくうちに、再び自分の人生の舵をきっていく物語。
ドリフターズリストの本当の意味
誰かとの別れ、とくに好きな人との別れって急に「あなたはダメです」って烙印を押された気になりませんか?
そうすると急に自分の嫌なところがぽろぽろと溢れ出して、余計に辛くなってしまう。
だからこそ失恋ってきついのかもしれません。
引っ越す、髪を切る、鍋を買う。大それたことではないけれど立ち直るためには必要なこと、思いついたこと。
ひとつひとつ実行していく中で、彼に対する想いや、目の前にいる人たちの知らなかった面、
自分自身に何もないこと(これはあくまで本人目線)色んな事に気づかされていきます。
でも、同時に、自分でも知らなかった新しい感情、毎日をちゃんと営んでいくことの大切さを痛感させられます。
当初は破談から立ち直るためのリストだった。しかしあるときふっと気づきます。
破談から立ち直るためなんて一時しのぎじゃないか。立ち直った時点までしか持っていけないなら、私はまたふりだしに戻る。もっとこれからの私を末永く支えるようなリストにしたい。今がチャンスだ。ふりだしを越えていこう。
心が弱っている時に前向きになろうと鼓舞したものは、前向きになった時がゴール。それでも良いかもしれませんが、あすわは違いました。
「ふりだしを越えていく」ってかっこいいなとフレーズをメモしてしまいました。
先頭じゃなくて後ろから歩いていく
日常を取り戻しはしたものの周囲と比べすぎて、焦るあすわに、
がんばれなくても、ええんちゃう?
へたくそな関西弁でのロッカさんのちょっとした一言。
そのあとに続くあすわの心境が好きです。
がんばっている人に対して、なんだか後ろめたい気持ちがあったのはなぜだろうか。
がんばれない自分が恥ずかしいのと、それにたぶん、がんばっている人への妬みもあった。
がんばっている人のことは素直に感嘆していよう。自分ががんばれなくても開き直らず、卑下もせず、一番後ろからゆうゆう歩いていこう。
がんばる、がんばれって時として重い言葉になって、
勝手に傷ついてしまうときがあると思います。
それで自分の気持ちをすり減らしていくよりも
前を歩くんじゃなくて、後ろから歩いていけばいい、そんな考え方が私にはすごくしっくりきました。
最後に
やりたいことリストを作って、実行して・・・っていう自己啓発的な物語ではなく
毎日を淡々と過ごす、普通を大切にする、そんなことを気づかせてくれる話です。