1/2の恋物語。江國香織 著 『冷静と情熱のあいだRosso』

はなこです。10代のころから大好きな江國香織さんの作品を紹介します。

有名な小説なので、ご存知の方も多いとは思いますが、紹介を。
この本は作家江國香織さんと辻仁成さんが、交互連載という形で、
ひとつの物語に対して女性側あおいと男性側順正それぞれの視点から書かれた作品です。

Rossoは女性側、あおいが主人公のお話です。

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静かにずっとあり続けるもの

2人が一緒にいない、別れているところから物語はスタートします。今の話が進められているけれど、あおいの心はいつだって学生時代の東京にある気がします。

あおいがアンティークジュエリー店に勤める理由もその一つ。
これは読み進めるうちに、さらっと書いてあるので見つけてほしいです。

私がこの本を初めて手にしたときはまだ、13か14のころで
大人への憧れがありつつ、まだ主人公の心情など十分には理解できませんでした。

折に触れて開くと、気づけばあおいの年齢を越していく。
私の心も少しだけ大人になって、読むたびに違うところで涙してしまいます。

時がたつほどに私の日常になってしまったこともあります。

悲しくも美しい景色が見たいと思って聖地巡礼もしました。

どこかに2人が良そうな気がします。

夕方のお風呂

『夕方のお風呂はほんとうに怠惰だ。怠惰で無為』

この本の印象が強く残っているからなのか、私は夕方に入るお風呂が好きです。
それも平日の夕方ならなおさら。
動き回る社会と相反して無為であることの優越感もありつつ、
焦らない、ただ時間が流れていくことに安らぎを感じます。

この本の中ではお風呂が多々登場します。あおいにとってお風呂が無為であること、無為であるからこそ記憶が後ろ向きにならなくてすむこと、そんなことを象徴するものです。

イタリアの景色

3年前イタリアを周遊した際に、絶対にフィレンツェドゥオモ、
そしてミラノのサンタマリア・デッレ・グラツィエ教会の中庭には行くと
決めていました。

この本の中で印象的な場所だったから。

教会の中庭はあおいがいつも読書をしに行く場所。ひとりになりにいく場所。

サンタマリア・デッレ・グラツィエ教会の中庭は、ミラノじゅうで私のいちばん好きな場所だ。四本の白木蓮と四匹の蛙が、噴水をとり囲んでいる。幾何学的に配された緑。

フィレンツェドゥオモは2人が10年前の1990年に一緒にのぼろうと約束した場所。

フィレンツェのドゥオモは「愛し合うものたちのドゥオモ」なのだ。

ミラノとフィレンツェ、そして日本。登場人物はほぼ外国人なので、言葉遣い、過ごし方に驚くこともありますが、あまりにもロマンティックで甘美な世界であると憧れを感じずにはいられません。

活字の魅力

この本の魅力は、描写が細かくて繊細なこともあると思います。
雨が降る、歩く、見る、バスタブ、台所、アマレット・・・挙げればきりがないけれど
同じ言葉を使っているはずなのに、ページが変われば違うものに変化しているし
活字のなかから五感を刺激され、目の前に映し出されます。

Bluも合わせて読むと
2つの話が絡み合ってひとつの物語としてようやく完結するのでおすすめです。

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ABOUTこの記事をかいた人

福岡県在住、発酵愛好家の管理栄養士。 好きな文筆家は江國香織、柚木麻子、平野啓一郎、東野圭吾、松浦弥太郎、服部みれい ジャンル問わずなんでも読みます。 本屋と図書館巡りが好き。 自分の気持ちに合わせてそのときに読みたい本を読む。