心や思考を整理したい時に。 森 博嗣 著 『本質を見通す100の講義』

こんにちは、環(@echo3i_r)です。

今回は、森博嗣さんの『本質を見通す100の講義』というエッセイをご紹介します。
日常のちょっとしたことや、社会に対する森博嗣さんの考えが綴られています。
読んで、考えて、心や頭の整理をするきっかけをつくることが自然にできるのが、私にとっては森博嗣さんのエッセイです。

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「本」をとおして、自分のアウトラインを見つめる

私は、本というものはそこに書かれている内容よりも、自分がどう考えたか、感じたか、という過程が大切だと思いつつ、それをうまく言語化できないでいたが、この言葉を読んで「これだ!」としっくりきた。

本というのは、窓から射し込む光のようなものであって、それで貴方の部屋が明るくなることもあれば、埃や汚れを際立たせることもある。でも、それは貴方の部屋なのだ。(中略)
あるときは、その光で貴方自身の影がくっきりと壁に映し出されるかもしれない。自分の姿のアウトラインは滅多に見られるものではないから、じっくりと観察して、楽しんでもらいたい。

自分で自分を冷静に客観視したり、俯瞰で見ることができる機会は日常にはあまりないかもしれない。
けれど、本という媒体ではそれが案外、簡単にできる気がする。

主語が「私」か、「みんな」か

42.「私は嫌いです」を、「評判悪いですよね」と言い換える

自分の個人的な主張を、まるで大勢の意見であるように話す人。
私は「そういう人いる」と思うし、たぶん世の中には一定数いる。
私も主語を大きくして、自分の意見を話したことがあるかもしれないなあ、と少し反省もしている。

たくさんの「みんな」の意見は、少し疲れる

少し話はずれるけれど、今この記事を書いている2020年2月の日本では、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、テレビのニュースでは街の意見や専門家のコメント、ネットをのぞいてもたくさんの情報が渦巻いている。
正直言うと、このたくさんの意見が溢れている現状に、私は少し疲れている。
(その意見の大半は批判であったり、怒りであったり、不安や怯えからくるものだから仕方ないのかもしれない。)

主語が大きくて、影響力もある「みんな」の意見は「そうなんだ」と受け取ってしまいがちだ。
こういう時こそ、自分がどう思うか、考えるか、ということもきっと大切だと思う。

「私」の意見が必要な時もある

話は戻るけれど、「評判悪いですよね」と言い換える背景には、大勢の意見にしてしまったほうが、説得力があるからなんだろう。

そうは言っても、「好き」「嫌い」の判断が分かれる、本や映画なんかは、その論理は多分、本質的に間違っているなあ、と思ったりした。
職場で仲良くもない人との世間話で、何かについて話題になった時、その会話そのものがおっくうで「人気だよね」という表現でごまかすことが、私にはよくあるけれど、何かについて本当に話したい時、「好き」だとか「嫌い」だとか、自分の意見を表明できる人間であらねばいけない、と心に留めておきたい。

大切なのは、設計よりもどう作るか

63. 何を作るのかは考えるのに、どう作るかは後回しになる

工作や橋を例にして、何を作るかは考えるけれど、どう作って実現させるか後回しにされがち、という話がされている章。
これはハードだけでなく、ソフトでも言えることだし、本書でも書かれているが人生設計も、どう実現するか、の部分が重要だ。

物を作り上げる現場での工事や生産は、時間も技術もかかるわけで、生きていくにも時間、技術が必要だ、という部分は妙に納得した。
(当たり前でしょ、と言われればそれまでなんだけれど、一連の思考として考えてみると、どこか響くものがある。)

森博嗣さんはもともと、建築畑の大学教授だったので、そのあたりの話は読んでいて「ふーーん」という感じで、面白い。

おわりに

こういう100についての講義だったりぼやきが、本書には綴られています。
講義やらレクチャーは自分がどう考えるのかも重要だ、ということを二十代半ばにして痛感するようになりました。

情報過多に疲れてしまい、読書も気乗りしない時期が続いていましたが、本の楽しみ方のヒントもこの本を通して再発見できた気がします。

以前、紹介した森博嗣さんの読書について論じられた、別エッセイもお勧めです。

“本選び” は “友達選び” です。 森 博嗣 著 『読書の価値』

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福岡県出身、読書が好きな社会人。 なんでも読む雑食系ですが、ミステリーやファンタジーをよく読みます。特に上橋菜穂子/恩田陸/辻村深月(敬称略)など。 読書は生活の一部。 ご紹介する本が、皆さまにとって良き出会いとなりますように。