世界中で愛読されている、ビジネス小説。 エリヤフ・ゴールドラット 著 『ザ・ゴール -企業の究極の目的とは何か』

日本で一番有名なビジネス小説が何か、私はよく分かりませんが、世界中で愛読されているビジネス小説に『ザ・ゴール』があります。
ひと言で表現するならば、生産管理を題材としたビジネス小説で、組織トップの必読書、と紹介されることも多い本です。

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前回の書評の続きというわけではありませんが、普段ビジネス書を読まない私が手にした、数少ないビジネス関係の本ということで、今日はこの『ザ・ゴール』を紹介したいと思います。

私がまだ工学部の学生だったころに読んだ本ですが、工場での生産管理というよりも初心者向けのマネジメント本として、大変参考になりました。
真偽は不明ですが出版当時、著者が日本を脅威と感じていたため、本書で語られる手法が日本に伝わることを恐れ、17年間ものあいだ日本語訳が出版されなかったことでも有名です。

ボトルネックを探せ

主人公は、赤字続きでつぶれかけの工場の、工場長アレックス。
彼は工場閉鎖という危機に直面するのですが、効果的な生産管理的な手法を導入していき、工場再建を目指すというストーリーです。

彼が取り組んでいく改善手法のなかで、重要な考え方になるのが“ボトルネック”という概念。
とても有名な考え方なのですが、つまるところ、

  • いくら工場に最新のマシンを導入しても、
    どこかで作業の滞り(ボトルネック)が生まれれば、意味が無い
  • 個別の業務を最適化して効率が上がったとしても、
    作業がボトルネックの場所で止まってしまえば、最終的な製品は出来上がらない
  • 逆に、全体の業務を見渡しボトルネックを特定・改善をしなければ、
    個別業務の改善は無意味である

という考え方です。

これは制約理論【TOC (theory of constraints)】として知られていて、もちろん工場の現場だけでのものではありません。
あらゆるプロジェクトの進行において、前提となる考え方だと思います。

このようにザ・ゴールで描かれているのは、何も特別な内容ではなく、
ビジネスにとっては当たり前のことで、他のビジネス書でも語られている内容とも重なる部分も多くあります。

ただ、その当たり前のことを実行に移すのは、存外難しかったりもして
「知っていること」と「実行すること」はイコールではなく、
だからこそ世の中にはビジネス書がたくさんあるんだろうな、とこの記事を書きながら思いました。

これさえ読めばビジネス書はいらねえ!という本ではなく、
「マネジメントってこんな感じ」と、なんとなく分かるという意味で、本書はお勧めです。

企業にとっての究極の目的

工場長アレックスは、工場再建に取り組むなか、

「君の会社の目標(ザ・ゴール)とは何だね」

とアドバイスを受けます。

アレックスをはじめ従業員は、
「効率よく仕事すること」を目標としていたため、
新型のマシンを導入したり様々な改善をしていくわけですが、
会社の究極の目的は「利益を上げること」
効率を上げるのはその手段でしかないわけです。

ビジネスで大事なことは、人生でも大事

この「目的と手段は違う」という考えは極めて当たり前のことだし、
普通のビジネス書で読むと、「ふーーん、まあそうだよな」と
読み流してしまいそうだけれど、主人公と等身大で問題を見つめることで
私は身近にダイレクトに考えることができました。

本書でも、アレックスの仕事模様だけでなく家庭や夫婦関係についても、語られていて、
初めて読んだときは、まどろっこしいというか余分だなと思っていました。
今思えばこの「目標や手段の違い」や、「ボトルネックの概念」は
工場や会社だけに限定されるものではないからこそ、描かれていたのかもしれません。

「こうしよう!」みたいなビジネス実践本が欲しい人には向かないと思いますが、
ビジネスの基本となる思考を学ぶ、という意味では分かりやすい一冊です。
How to本ではなく、考え方のベースを身に着ける、という感じでしょうか。

工学部の学生や、生産管理やチームマネジメントを学びたい人、にはおすすめできるビジネス小説だと思うので、気軽に手にとってほしいと思います。

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日本企業に置き換えた漫画版もあるけれど、読むなら小説のほうが私はお勧めです。

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福岡県出身、読書が好きな社会人。 なんでも読む雑食系ですが、ミステリーやファンタジーをよく読みます。特に上橋菜穂子/恩田陸/辻村深月(敬称略)など。 読書は生活の一部。 ご紹介する本が、皆さまにとって良き出会いとなりますように。
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