“本選び” は “友達選び” です。 森 博嗣 著 『読書の価値』

こんにちは、環(@echo3i_r)です!

今日は森博嗣さんによる、読書をテーマについて綴られた本『読書の価値』をご紹介します。
実はこの本と出会ったのは約1年前。わたし自身の読書感に変化をもたらしてくれた1冊であり、読書や書評を書く意味について考えるきっかけをくれた本で、いつかご紹介したいと思っていました。

読書のみならず、ライフスタイルについても考えたくなる、そんな1冊だと思います。
本を読みながら本を読むことを考える、少しメタ的で面白い時間を過ごすことができますよ。

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森博嗣さんの、読書のススメ

森博嗣さんについて

森博嗣さんについて、簡単にご紹介しますと、

  • 代表作『すべてがFになる』をはじめ、多くのミステリーやエッセイ等を書かれており、その著作はなんと300超!
  • 驚異的なアウトプット量、そしてその質、書き上げる速さは業界でも有名な話。1時間でタイピングする、すなわち作り上げる文章の文字数は約6000字……!
  • デビュー当時は専業作家ではなく、現役の国立大学 工学部の教授でした。そうした背景からか、森博嗣さんの本、特にエッセイは、極めて淡々と論理的な文章だと感じる方が多いようです。
  • 数年前に作家引退宣言をされてましたが、いまだに年5~6冊をコンスタントに刊行しています。

日本を代表する作家の一人だと、わたしは思います。

※森博嗣さんのすごさがよくわかる、インタビュー記事はコチラをどうぞ!

誰も教えてくれない、〝本の読み方〟

『読書の価値』の宣伝文には「誰も言わない「読み方」を教えよう」と書かれています。
まさしくその通りで、本の読み方って誰も教えてくれません。

ここで言う、〝読み方〟は速読とや効率的な読書法のようなテクニックではなく、純粋な〝本の読み方〟のこと。

本書では著者 森博嗣さんが自身の経験を振り返るかたちで読書論が綴られていますが、それを押し付けるような本ではないので、読んでいて気持ちのよい本です。

誰かの考え方を否定するのではなく、
私はこう考えて読書をしているけど、君はどうだい? まあ君は君で、好きに読書を楽しみなよ」
と森さんが言っているようにわたしは感じました。

逆にHow to本を求めている方にとっては、あまり面白くないかもしれませんね。

自分で読む本は、自分で選ぼう

この本の内容をものすごく端折り、ひと言で表現するならば、「自分で読む本は、自分で選ぼう」です。
本を紹介する書評で、そんな本を紹介することは矛盾しているんですが、でもやっぱり紹介したいなと思い、1年経った今、書評を書くことにしました。

読書の価値:自分が読んで面白いと思うかどうか

僕が本から得た最大の価値は「僕が面白かった」という部分にある。
だから、もし同じ体験をしたいなら、各自が自分で自分を感動させる本を見つけることである。
同じ本が別の人間に同じ作用を示す保証はないからだ。

これは、本書のまえがきの抜粋なのですが、この『読書の価値』の本質的な部分だと思います。

  • 当たり前の話ですが、誰かと同じ本を読んで、まったく同じ気持ちになる、という追体験はできないわけで、それならば自分でその本を見つけるしかないということ。
  • 本をとりあえず読んでみることで、自分は何が面白いのか、何が知りたいのか、ものさしを少しずつ見つけていく、それが大切なのだと思います。

自分で選ぶ本は自分で選ぶべし

皆さんは、本を選ぶときに誰かのおすすめや、いわゆる購入者のレビューを気にするほうですか?

  • 前述のとおり、誰かとまったく同じことを本を通して、学んだり感じ取ったりすることはなく本は自分の感覚やものさしで選んだほうが、より面白い、これが森博嗣さん流の読書法です。
  • 例えば家電は性能という観点で、誰かの評価を参考にできます。
  • 一方で、本や漫画や映画のように、心や頭、感性に対しての評価は、他人のものさしが自分のものさしと一致しているとは限りません。

誰かが面白い、ためになった、と感じたものが客観的に見て面白かったり、ためになる可能性は、高く評価した人が多ければ多いほど高いわけですが、自分が面白いと感じるものにも、そこまで誰かのものさしを頼りにして、それでいいのか?という話です。

本選び は 人選び

結局、本というのは、人とほぼ同じだといえる。本に出会うことは、人に出会うこととかぎりなく近い。それを読むことで、その人と知合いになれる。

森さんのこの言葉は、結構グッときました。

友達を選ぶときのように、誰かの評価よりも自分と合うかどうか、を大切にすること。
友達を探しにいく気分で本探しをしよう、とこの本を読んで思うようになりました。

アイデアはインプットから生まれる

この『読書の価値』では、後半は読書そのものというよりも、ライフスタイルに対して言及されているのですが、わたしはこの後段部分が大変印象的でした。

日頃、人間はそんなに多くを経験するわけではない。
自分の生活や仕事の範囲であれば、毎日はさほど変化はない。
ときどき、旅行をすると刺激的なインプットがあるように感じるのは、それらが日常のものとは違っているから、いわば自分から遠く離れた情報だからである。
距離的に遠く離れるという意味ではない。知識的、興味的に遠いということである。
(中略)
連想のきっかけとなる刺激は、日常から離れたインプットの量と質に依存している。
そして、その種のインプットとして最も効率が良いのが、おそらく読書だ、と僕は考えているのだ。

なぜ人はインプットするのか? アウトプットしていくいためには何が大切か?
この本を通して学ぶ、ではなく何よりもまず、考えることが大切だとわたしは思います。

本書内で著者は「同じ本を繰り返し読むことが、自分には理解できない」という趣旨の言葉を綴られています。
それが小説であれ何であれ、1冊の本を読みながら思考し、自分の考えを持った上で読み進めていく、というスタイルでの読書をしている上では、1冊読み終えた時にはすべてインプットされていて然るべし、というのが森博嗣流の読書だということ。

一方わたしは、体験型の読書とでもいえばいいのか、その本に浸るのが楽しみでもあるので、同じ本を繰り返し何度も読んでは全力で楽しんでいます。
森博嗣さんとは、違う読み方をしている訳です。もちろん、ほかにも読み方はあるはずです。

まず読書について考えること、そこから自分の読書が見えてくると思います。
読書で読書について考えるのは、ちょっと面白くてお勧めです。

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ABOUTこの記事をかいた人

福岡県出身、社会人3年目 よく読むジャンル:なんでも読む雑食系ですが、ミステリーやファンタジーをよく読みます。特に上橋菜穂子/恩田陸/辻村深月(敬称略) 読書は生活の一部。 ご紹介する本が、皆さまにとって良き出会いとなりますように。