“図書館”って、“本”って何だろう? 『シリアの秘密図書館』

こんにちは、環(@echo3i_r)です!

先日、戦争が続くシリアの街で、地面を覆う瓦礫から本を1冊1冊取り出し、集め、
そして街の図書館を作った人々のことを綴った、『シリアの秘密図書館』と出会いました。

子どもの頃からいわゆる“本の虫”だったわたしにとって、本はとても大切なものですが、
この本を読んで、図書館や本がもっと特別で愛おしいものであると感じました。

スマートフォンを武器にして、勝ち取った自由

2011年の中東における非暴力の市民による民主化運動は「アラブの春」と呼ばれています。
聞き覚えのある方も、多いのではないでしょうか。

彼らはスマートフォン、そしてSNSを武器のようにして、自由を求める声を拡散し、
中東地域で長年続いていた独裁政権に立ち向かいました。
まるでドミノのように複数国の政権が倒れていく様子は、当時十代の私にとって非常に衝撃的でした。

いわゆる、歴史の教科書でしか知らなかった“革命”を目撃した
出来事であり、印象深く記憶しているのだと思います。
しかし非暴力で実現したはずの自由は、
皆さんご承知の通り、独裁政権の再建や過激派組織IS(イスラム国)などにより奪われ、
中東地域では戦争そして暴力による支配が進み、市民の命は危険にさらされました。

この本で舞台となっている、シリアの都市ダラヤも再建した独立政権による空爆が日々行われ、
周囲を包囲され、風景が瓦礫と化した街でした。

人間であり続けるために

本書で語られるのは、戦火の街で若者たちが瓦礫の下から本を取り出し、
集め、それを図書館として開放する話です。
1冊ずつ集められた本の量は、1万5千冊を超えました。
この本たちは、砲撃が届かない地下に集められ、
包囲された街の公共図書館となり、貸出が行われるようになりました。

軍に街の周囲を包囲され、逃げ出せず、
明日の生命が保証されない中、この図書館は人々の拠りどころとなりました。

戦火に怯え、抱えた孤独にやすらぎをあたえたり。
消えてしまいそう最後の希望の光であったり。

私が、印象に残っている言葉が、こちらです。

「戦争は悪です。人間を変えてしまう。感情を殺し、苦悩と恐怖を与える。
戦争をしていると、世界は違ったふうに見えるようになります。
読書はそれを紛らわしてくれる。
僕たちを生命に繋ぎとめてくれるんです。
本を読むのは、何よりもまず人間であり続けるためです」

その街に住む彼らには、不安定ながらもネット環境があり、世界と繋がることもできるけれど、
本も彼らの砕けそうな心を支え、生きる希望でもあったのだと思います。

本がただの読み物に終わらず、人の心と心を繋ぎ、導くものであることは、
戦場に限った話ではなく、日本をはじめほかの国々でも共通したことではないでしょうか。

わたしはあまり中東問題には明るくないのですが、本書を手に取ったきっかけが、
ノーベル平和賞を受賞した、ナディア・ムラドさんによる本『THE LAST GIRL』を読み、
中東をめぐる問題に興味を抱いたからです。

本を数冊読んだことで、理解できたとは到底言えるものではありませんが、
これらの本を通してわたしが日本から離れた中東のことを考える機会を与えてくれています。
それで何が変わるとも言えませんが、こういった小さな興味関心がわたし自身の見識にも繋がっていくのかもしれません。

やはり、読書とは良いものですね。

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福岡県出身、社会人3年目 よく読むジャンル:なんでも読む雑食系ですが、ミステリーやファンタジーをよく読みます。特に上橋菜穂子/恩田陸/辻村深月(敬称略) 読書は生活の一部。 ご紹介する本が、皆さまにとって良き出会いとなりますように。