“どんでん返し”と論理の応酬!円居 挽 著『丸太町ルヴォワール』

初めてのかたははじめまして、そうでない方はこんにちは。です。

秋と言えばついついわたしは夜更かしをして小説を、特にミステリーを手に取りたくなってしまうのですが、
先日手に取った作品を今回はご紹介させて頂きます。

ミステリー好きの皆さん、どんでん返しは好きですか?
ならばこの、『丸太町ルヴォワール』を!

どんでん返しに次ぐどんでん返しが起こるストーリーはまさに圧巻、
張り巡らされた伏線が回収されていく様子は鳥肌だつような展開です!
今年(と言ってもまだ9月ではありますが…)初めて読んだ小説の中でも、指折りの1冊となる予感がしています…!

語り尽くせぬ本作の魅力

京都が舞台の、私的裁判ミステリ

ぼくの初恋にまつわる話でもしましょうか。

この『丸太町ルヴォワール』を一言で表現するならば、「現代の京都で行われる、裁判ミステリ」と言ったところでしょうか。
古来より京都で行われてきた私的裁判、「双龍会(そうりゅうえ)」はバレなければ故意な嘘も有りとされるような“論理合戦”

判事を「火帝」
被告を「御贖(みあがない)」
検事を「黄龍師」
弁護士を「青龍師」 …と呼び、行われます。

この双龍会の面白いところは、、最終的な裁定は法的拘束力などなく、必ずしも真実である必要がない、ということ。
つまり、嘘に嘘を塗り固めた虚構の論理であっても、聴衆や場を鮮やかに騙す者が裁判を制す、ということです。
ゆえに物語のテーマは、めまぐるしい論理合戦、そしてどんでん返しに次ぐどんでん返し
いったい、作中で何回ひっくり返した!??と思うほど、のハイスピードな展開は読んでいて痺れます。

「あれは間違いなくぼくの初恋でした」

作中では、三年前に起きた殺人事件の容疑をかけられた城坂論語が被告である「御贖(みあがない)」、
彼がその事件当日に出会った、真犯人と思しき謎の女性“ルージュ”との時間を振り返るところから物語は始まります。

しかし、その女性がいた痕跡はすべて消え失せていました。
事件の謎を知るのは、謎の女“ルージュ”だけ。
双龍会を舞台に、事件とルージュの謎について繰り広げられるハイスピードな論争と、
めまぐるしく鮮やかな“どんでん返し”の連続から目が離せず、一気読みしてしまうような物語です。

被告である城坂論語をはじめ、
弁護士である「青龍師」側の瓶賀流(みかが みつる)に御堂達也、
検事である「黄龍師」側の龍樹大和に龍樹落花(たつき らっか)など、
双龍会に立つ者は皆、曲者ぞろい。
繰り広げられる論理と言の葉の応酬だけでも、一読の価値があるような読み応え抜群の小説です。

飽きることのない怒涛の展開

本作はミステリですので、もちろんあちらこちらに伏線が張り巡らされていますが、
一体いくつの伏線が張り巡らされているんだろう、と読後に呆気にとられるような物語の密度に圧倒されました。

最後の最後まで翻弄された、という印象なのですが、
この感覚がどこか心地よいのは、あまりにも鮮やかだからでしょうか。
わたしはまだ一度しか読んでいないのですが、読むたびに唸らされるのだろうな、と今から再読を楽しみにしています。

私的裁判に登場する、人物たちのアクが強すぎるのもまた魅力的です。

「散る花は流水に乗って流れ去りたいと思い、流れ去る水は落花を載せて流れたいと思う。
いわゆる落花流水の理、男女の仲とはそういうものでしょう」

さて、先にも述べましたが物語は城坂論語がルージュとの出会いを回想するところから始まります。
なんとも癖のある語り口でつらつらと語っていくのですが、思ってもみなかったタイミングで、
仕掛けられる謎、は読み返していて、「ああ、そうだったのか!」と拍手したくなる。

作中の曲者ぞろいにやや印象が薄まってしまいますが、読者を楽しませるテクニックの多彩さがほんとうに凄い、そう思います。
こんな面白い本がまだあったのか、だから読書はやめられない。
そう、読後に心から快哉を叫びたくなるような1冊です。

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結びに代えて

実はこの、『丸太町ルヴォワール』はシリーズ作。
まだ続編は未読ですが、手に取るのはとても楽しみです。

読後に知ったのですが、作者の円居さんは本作がデビュー作。
ミステリーが好きだ好きだと言いながら、まだまだ世の中には面白いミステリー小説が
あるのだなと改めて読書の楽しみをかみしめるような出会いでもありました。

皆さまにとっても、良き出会いとなれば嬉しいです。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました!

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福岡県出身、読書が好きな社会人。 なんでも読む雑食系ですが、ミステリーやファンタジーをよく読みます。特に上橋菜穂子/恩田陸/辻村深月(敬称略)など。 読書は生活の一部。 ご紹介する本が、皆さまにとって良き出会いとなりますように。